【スペイン】 『ピレネー国際音楽フェスティバル』
PIRENEOS CLASSIC に参加して
(2005年7月14日)

スペインのピレネー国際音楽フェスティバル "PIRENEOS CLASSIC" から帰ってきました。今年のテーマは "NATURALEZA Y MUSICA" (自然と音楽)で、2週間(2005年7月3日〜16日)、このテーマに沿って選曲されたコンサートが開催されました。
とても充実した日々でしたが、とにかく毎日暑くて暑くて、朝夕が寒いというので長袖を用意して行ったのに、ただ歩いているだけで、もう汗だくでした!

皆様ご存知のように、ピレネー山脈が国境になっていて、南側がスペイン、北側がフランスになっています。それで、この国際音楽フェスティバルは、スペイン人とフランス人のアーティストたちが大半を占めていました。このフェスティバルの期間中、マスタークラスも並行して行われていましたので、私たちの場合、演奏家としてコンサートを持たせて頂いただけでなく、マスタークラスにも参加させて頂き、貴重な時間を過ごす事が出来ました。
大変ハードなスケジュールではありましたが、素晴らしいフェスティバルで、今回は、完全にアーティストとしての待遇でしたので、とても居心地が良かったです。

それでも、初日は色々ありました・・・

まず7月3日、パリのモンパルナス駅からTGVを使ってPau(ポー)までは順調に行きましたが、そこからフェスティバルの事務局が準備して下さったバスでスペインのCanfranc(カンフランク)まで行く事になっていました。
バスが来て、皆それぞれ自分の楽器を入れ込み、スペイン側の警察官がパスポート確認をして、やれやれこれで出発と思っていたら、動かず・・・・・。タイヤのパンク!
35度以上もあるというのに、またバスから出されてしまって、皆「これからどうするの?」とパニックになりました。
結局パンクだけではなかったようで、直りそうもないという事で、もう一台新たにバスを手配するという事になりました。
運転手さんも進行係の方も、2人ともスペイン語しか話せない!
バスの乗客といえば、フランスのアーティストとマスタークラスに参加する人たちです。私たちは日本人なのでスペイン語を話せないのは当然ですが、フランス人たちも皆話せないんですよね〜。
それで、パンクしただの何だの、進行係の方や運転手さんがジェスチャーでやるのを、口々にフランス語で「パンクしたらしい!」とか顔を見合わせてギャーギャーやっているんですね。
待つこと4時間・・・
やっとバスがスペインから到着!!!
元のバスから到着したバスに、コントラバスやらチェロやら、管楽器やスーツケースなどの入れ込み作業でまたまた大混乱・・・
ようやく終わって出発進行!
もう夜の8時です。それでも明るさだけは日中並みですからまだいいのですが、皆さすがに疲れ気味。
9時にフェスティバルのオープニングコンサートが始まるのに、どうなるの?、と不安に思いながら何とか10時半にCanfrancに到着。

・・・どうしたの?誰もいないじゃない!

事務局にも全然人がいない・・・
これは後で分かった話なのですが、担当職員たちは、バスの到着を待ちきれずに、コンサート開始と同時にコンサートホールに行ってしまったのです!
重いスーツケースを持ちながら、みんなただただ呆然と待ち、もうおしゃべりする気力もなくなってきて、静まり返っています。スペインと言えども、10時半ではもう真っ暗です・・・

11時半にコンサートが終わり、ようやく主催者のカルメン・マルティネーズさんをはじめ、世話係の方たちがいらっしゃいました。
もうみんな、この一日がどんなに大変だったかブーブー騒いでいました。主催者のカルメンさんは、フランス語が堪能でしたので、皆思い思いに勝手な発言をしていました。でもカルメンさんは、「ここがフランスでないという事を忘れないで。ここはスペインなのよ!スペインはこういう事が普通なんだから、仕方ないでしょう!」とケロっとした顔して言うんです。
ご年配の方なんかは、「それにしても4時間も暑い中で日干しになってしまうのに、飲み物やサンドイッチを配ったりする気配りぐらいあってもいいのではないですか?」と反論していましたが・・・
「だって、車がパンクしたのは、私たちフェスティバル運営委員がした事ではないし、こちらのせいではないわよ!」
ムムム・・・これはフランスと同じ考えですね・・・
フランス人も自分のせいではないと主張する人の多いこと、多いこと。ちょっとは謝ってくれれば腹の虫も収まるのに・・・これだから余計に頭にくるんですよね!

そして4日の午前0時頃になって、やっとホテルの割り当てが発表されました。全員が同じホテルではなくて、周囲のホテルにそれぞれが移動するので、その作業にまたまた時間が掛かります。
私たちは運良く、レッスン場所であり、毎日の練習場所でもあるコンセルバトワールから徒歩1分の小奇麗なホテルに決まりましたが、荷物を持って誘導してくれたのが、もう午前1時半です。
私たちの携帯電話はフランス国内でしか使えず、スペインでは無理なので、誘導係のおばさんに、ちょっとだけ携帯を貸してほしいと言って、母に「今まだホテルについてないの!」と電話したらビックリしていました。
ホテルについたら、ぐったりでバタンキューでした。

2週間中ずっと朝から晴天。そして気温も高く、日中は35℃以上!でもここの空気は美味しいし、乾燥地帯なので気分爽快でした。これでもう少し気温が低ければ申し分ないのですが・・・。

翌日は、前日の疲れがまだ取れていない感じでしたが、朝からレッスンでした。でも初日からとても充実したレッスンを受けられたので、もう満足で前日の疲れも午後にはすっかり取れてしまいました。
ホテルの食事は美味しかったです♪ 去年のマヨルカ島でもそうでしたが、とにかくスペインは生野菜と魚介類が豊富なんですよね。バイキングのトマトやスイカやメロンは山済みになっているんです。
私たちはスペインのパエリアが大好物ですが、フェスティバルの期間中、たくさん食べました。本当に美味しかったです!
ムール貝は日本では出回っていても、あさり、はまぐり、しじみほどではありませんが、ヨーロッパの貝といえば、ムール貝が主流です。

食べ物にももちろん魅力はあったけれど、フェスティバルでコンサートに出演させて頂いたという事以上に、充実したレッスンを受けられた事と、素晴らしいコンサートを毎日聴けた事は最高でした。ギターのレベルは昔からスペインは高いと聞いていましたが、ギタリストたちの素晴らしい演奏に圧倒されました。もちろん、他の弦楽器、管楽器などもとても魅力ある演奏でした。ハッキリ言って、初日のバス騒動の他は、何もかもが素晴らしい経験で、感激しました☆
そういえば、パリでは見られない光景ですが、羊の群れが数百頭、車道を散歩していたのです!その数には圧倒されました。ちょうど私たちは先生(マリー=ポール・ミロンヌ)の車でレッスン室に移動しているところだったのですが、あまりの羊の群れで、前に進む事が出来ませんでした。マリー=ポールも、羊を車でひいてしまったら大変なので、「あら〜、怖いわね!!」とおっしゃってヒヤヒヤしながらゆっくり進みました。これも傑作な経験でした☆

今回は、チェリストのマリー=ポール・ミロンヌと、ご主人であるピア二ストのドニ・パスカルのレッスンを受けさせて頂き、自分たちの音楽が日々変化して行くのを実感しました。
マリー=ポールはアメリカで元シュタルケル(アメリカの超一流チェリスト)のアシスタントとしてお仕事をしていらしたので、シュタルケル直伝の細かいチェロの運指法を沢山教えてもらえて本当に良かったです。先生曰く「これは凄い値打ち物よ。ちょっとやそっとのお金では教えられないことよ!」と冗談をおっしゃったけれど、確かに素晴らしい運指法を教えてもらえてラッキーでした♪
近々CDを入れる予定の曲をレッスンして頂いたのですが、コンサートの時とCDの時では、注意の払い方が違うので、CD用の運指が必要になるという事を知りました。今までは単に一番弾きやすい指使いが最高だと思っていたのですが、ノイズ防止の運指法を使わないとCDの場合はダメなんですね。

これはチェロに関してですが、ピアノについても、ドニ・パスカルのレッスンではCD制作のための曲と、フェスティバルのコンサートで弾くショパンやフランス物の曲などを主にレッスンして頂きました。
フェスティバルでの、ドニ・パスカルのピアノリサイタルは、毎日沢山のフランスやスペインのアーティストが演奏する中でも特に、素晴らしかったと思います。
曲目も、ラヴェルの「鏡」と「夜のガスパール」、リストの「オーベルマンの谷」、ベートーベンのソナタ op.110、と豊富でしたが、どれも粒立ちがよく、洗練された音色と響きでうっとりさせられました。
奥さんであるマリー=ポールとの共演の日もありましたが、お互いの息が良く合っていて、「流石だな〜」と感心してしまいました。

今回はギタリストのアヴェリーナ・ヴィダルとピラール・リウスが演奏された、2台のギターのための曲 Cosmogonia がとても印象に残りました。現代曲でしたが、作曲家のCarles GUINOVARTもフェスティバルにお越しになり、その曲の演奏後、皆から拍手を送られて、舞台にまでいらして挨拶をなさっていました。スペインは改めて、ギターの国なんだという実感が湧きました。何かとてもギタリストが自国の音楽を披露しているという感じがしました。皆、すごい熱演なのです。現代曲の作りが、とても派手ですし、ギターの扱い方も、まるでお琴のようにギターを膝の上に乗せてはじく奏法もあるのです。他にも、音叉(おんさ)やメトロノームを使いながら演奏したり、とにかく新しいギター奏法を学ばせてもらいました!

私たちは、いつもアーティストたちのレセプションにもコンサート後、毎晩参加させて頂いたので沢山のアーティストたちともお話するチャンスがありました。
もちろんフランス語が出来ないスペイン人とはちょっと難しかったですが、何人かのアーティストはフランス語で話しかけて下さいました。今回のフェスティバルでは、フルーティストやクラリネッティスト、ヴァイオリニストなどのスペイン人は本当に明るく、一流演奏家なのに、気さくで話しやすい方たちばかりでした。

ホテルにプールがあるという事で準備して行きましたが、毎日追われる日々で、今回は残念ながらあまり泳ぐ時間は取れませんでした。でも周辺の散策は時間がある時に出来て、自然だけは十分満喫させてもらいました。

自由時間が少なかった一つの理由は、弦楽器の人や管楽器の人たちに伴奏を急遽、真紀子が頼まれたりしましたので、時間の余裕がなくなってしまったのは事実ですが、珍しい曲を弾く機会には恵まれて良かったと思います。

コンサートはいつも午後9時からですので、かなり長期に渡ってだと疲れてきますねー。フランスの夜8時開演というのも遅すぎると思っていたのに・・・日本は7時ですね。

スペインは、毎日の時間のサイクルがフランスと違うんです。
朝食が午前10時、昼食は午後2時、夕食は午後9時が普通のようです。日本では3時には「おやつの時間」なのに!(笑)
ただ、フェスティバル期間中だけ、特別にホテル側が夕食時間を1時間半早くして下さっていましたが、普段は午後9時にならなければ、ホテルでの夕食は始められないそうです。

私たちのコンサート当日は何となく朝から落ち着かず、そわそわしていましたが、何か自然の多いピレネー山脈の中に私たちの音色が響き渡るのかと思うと感無量でした。
コンサートホール Iglesia de Canfranc は教会ですから、とても響きがよく、ピアノとチェロの相性が良かったです。またスペインだからなのでしょうが、毎晩9時開演とフェスティバルのプログラムには書かれていながら、9時に扉が開けば優秀な方で、大抵はそれ以後になってしまうので、いつも9時半頃開演でした。
会場の雰囲気がとても良かったので、真紀子のピアノソロも、直彰とのデュオも、気持ちよくのびのび演奏できました。スペインの聴衆たちは、本当に音楽を楽しんで聴いてくれました。私たちが演奏を終えると同時に、「ブラボー!ブラボー!」が鳴り止まず驚きました。そして、生まれて初めて経験した事なのですが、スポーツ観戦の時のように、指笛でピーピー鳴らしている人たちがいました!
フランスでも相当ブラボー慣れしているんですが、今回は本当に息を呑むほど凄かったです。
でも、バカンスをここで過ごしている方たちや住民が、こうやってコンサートに足を運び、楽しんで下さるのは本当に嬉しかったです。

だから、私たちは、コンディションを整えたり、精神的な緊張とか色々あって大変ではあるけれど、本当に本当にこういう気持ちを味わえるという事が幸せなんだとつくづく思います。
そして聴衆たちは、わざわざ楽屋口まで来て下さって、「ブラボー!楽しい演奏を本当にありがとう!」、と心から感謝して下さるんです。こんな幸せがあるから、真紀子と直彰二人で、「また頑張ろうね!」と声をお互いに掛け合いながら頑張れるんだと思います。

一つだけ、今回残念だったのは、主催者のカルメンさんが毎晩コンサートの写真を撮って下さっていたのですが、当日会場で事務処理をしたり、バタバタしている間に受付のテーブルに置いていたカメラが盗まれてしまい、結局写せなかったという知らせを終演後に聞きました。ガッカリ・・・。これだったら、私たちのデジカメを持って来れば良かったのですが、カルメンさんを頼っていたので、ホテルに置いてきてしまっていて残念でした。スペインらしいですね・・・。そうそう、他にもお財布を開催中に盗まれたアーティストもいたし・・・。

私たちは、今回は忙しすぎてデジカメを持っていたにもかかわらず、あまり写せませんでしたが、数枚写したものを皆様に見て頂きたいと思います。

まだパリについて1日しか経っていません・・・
早く疲れを取って、また元気に頑張ろうと思います☆

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